合併症
1.眼内炎
cataract 術中、術後に細菌が眼内に混入し感染を起こすことがあります。多くは術後48時間後に、眼痛を伴った霧視(かすみ)で発症し短時間単位で悪化していきます。発見が遅れると、視力予後は非常に悪いものとなります。1/1000~1/2000眼の割合で起こるとされている怖い合併症です。もし前述の症状が自宅に帰り現れた場合には、我慢せずにすぐに緊急連絡先にお電話してください。
2.虚血性視神経症
原因ははっきりしませんが、何らかの原因で視神経の血液循環が途絶し、虚血に陥ることで発症します。基礎疾患に合併し、たまたま運悪く手術日前後に重なって発症してしまうケースもありますし、また術中、高眼圧下の状態で長い時間の手術を行った場合発症することがあります。発症してしまった場合、神経的な不可逆性変化のため、残念ながら視力がもどることはありません。
3.水疱性角膜症
角膜は大きく分けて5層より構成されていますが、その最内層に角膜内皮層というのがあります。ここには眼内の水分が角膜内に入り込む量を制限する、とても大切なバリアの役目を持っています。

正常眼の角膜内皮細胞数は約2000~3000/m㎡といわれておりますが、これが手術侵襲などにより大きく減らしてしまうと、術後、角膜にだんだんと浮腫(むくみ)が起り、角膜が混濁してしまうことにより視力が低下してしまいます。数学的には約500/m㎡を切ると発症するといわれています。昔の白内障手術ではとても多い合併症でしたが、現在では医療機器、医療技術の進歩により非常に少なくはなってきています。しかし、手荒な手術や、過度の超音波のかけすぎなどによって、内皮細胞はダメージを受けるため、術者の技術にも大きく左右されるものと思われます。角膜内皮細胞は一度減らしてしまうともとにはもどらないため、今日では角膜内皮をいかに保護するかという手術テクニックが、我々術者には要求されています。もともと眼外傷や角膜変性症などで内皮細胞が極端に減少している方は、その程度によっては白内障手術の適応にならない場合があります。
4.眼内レンズ度数のミスマッチ
術前に、眼内レンズの度数を決めるため、角膜局率半径や眼軸長を測定する検査がありますが、大きな誤差がでてしまうと、メガネなしで遠くが見えるようにしたいと計画していた人が、近くにピントがあってしまったり、また、もともと近視の方で、メガネなしで本が読める距離にピントを合わせる予定の方が、メガネ(近用眼鏡)をかけないと本が読めなくなってしまったとか、たまにこういう屈折のズレが生じてしまうことがあります。あまりにも大きな誤差を生じてしまった場合や、ご本人の不満が大きい場合には、眼内レンズの交換手術を術後早期に行うことになります。

計測時にキョロキョロ目が動いてしまったり、両眼とも高度の視力不良のため検査指標がうまく固視していられなかったり、強度近視眼の方などは計測誤差がでやすいようです。
5.黄斑浮腫
網膜の中心部に術後一過性にむくみがきて、手術がきれいにいっているのに思ったほど視力がでない場合があります。自然によくなる場合がほとんどですが、点眼や内服薬で短期治癒も可能です。
6.術後高眼圧
術後一過性に眼圧が上昇し、角膜がむくんで、術後早期から良好な視力が得られない場合があります。長くても2日前後の経過で眼圧は正常化し視力も改善します。上昇眼圧の程度によっては、点眼、内服、点滴などによる処置を行います。
7.後発白内障
眼内レンズ挿入後、レンズが挿入されている水晶体の袋が混濁してくることがあります。混濁が強くなると、手術前のような視力低下をきたします。ヤグレーザーにて混濁した袋をやぶいてあげることによって、また良好な視力がもどります。

※この他にも合併症は存在しますが、手術を受けられる方に、これだけは知っておいていただきたいものをあげました。

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